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”あずましい”お宿
この記事を書いた人:ヨウコング
北海道に来てから13年。お盆はオットの実家、栃木に帰省するのが定番でした。
たまには涼しい北海道で過ごしてみればと義父に提案したところ了承してくれたので、久しぶりにお盆を北海道で過ごすことになり、それならば夏の旬、積丹のウニが味わえる宿が、と以前から気になる1軒の旅館にダメ元で連絡をしたところ、ちょうどキャンセルがでて奇跡的にも予約ができたのです。
決して安くはないですが、お盆はいつもは安い宿が一番値段が跳ね上がるシーズンだし、そちらは一日2組限定とのことで、6~8月は積丹のウニ、アワビなど海鮮尽くしの夕飯と朝ごはんにもウニ丼が出るという前情報が決め手となりました。
札幌から車で約2時間。途中立ち寄った余市の朝ドラの舞台となったウヰスキー工場見学は大型バスが何台も乗りつける一大観光地となり、行こうと思っていた食堂は以前よりもさらに長い行列のできる店になっていて、やむを得ずパックのちらし寿司で昼ご飯をすませ15時ぴったりにチェックイン。
木造2階建ての決して豪華な建物ではないけれど、落ち着いて清潔な部屋から見える積丹岬のおだやかな景色といい、廊下にある調度品や小物もそこにあって然るべき感ある、というかんじで実に”あずましい”お宿という印象。
約200年前よりニシン漁で栄え漁場経営や交易の場所だった建物を旅館に変えたのは昭和29年とあったので60年程経営されているそうで、お料理や女将さんからからもブレない安心感を感じます。
期待に漏れず義父に「ウニ、アワビはしばらくいいわ」と言わせるほど海の幸を堪能し、早々に就寝。
翌朝5時には目が覚めるとお部屋から望める海辺の景色のど真ん中にトラックが着き、続々と人が集まってきてイベント用のテントやら宿泊テントやらを設営し始めました。朝ごはんの7時まで三人でお茶を飲みながら「あれはなんかイベントか祭りでもやるのかね」なんて話して、食事の部屋で女将さんに聞いたところ
「いえ、あれはただのキャンプなんですよ。あの海岸一帯はうちの土地なんですけれど勝手にキャンプを皆さんやっているんです・・・」
「え、それってダメなんじゃないですか?立入禁止とかしないんですか?」
「本当は景観を損ねるのでやめてもらいたいんですけれど、まあみなさん楽しみにやっていらっしゃるみたいで、毎年恒例のところもあるし。ゴミさえちゃんと始末してくださいってお願いしています。ただキャンプに100組来てうちに断りにくる方は2組ぐらいしかいませんけれど(笑)」
・・・なんとも寛大なココロ。今年不漁と言われるウニが朝食でも惜しみなくでるのは、付き合いの長い漁師さんから優先確保してもらっているからとも聞くと、またそこで老舗の余裕を感じてしまいます。
あとでその旅館を知っている方に聞くと、なかなか予約が取れないそう。元はwebで知り、そんなにはクチコミ評価が高くはなかったけれど気になっていたお宿、・・・ワタシの嗅覚、まんざらでもない。