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そばずし

この記事を書いた人:アベミチコ

そばずし

釧路にいた子供の頃は、
そばは緑色で、そば寿司は当たり前にあるものだった。

家から歩いて五分ほどのところにある
明治創業の竹老園というお蕎麦やさん。
釧路のあちこちにある東家さんの総本店。

ここには日本庭園があり、
そこには白鳥や鴨や鯉がいたり、大仏があったり。
座敷の方には大きなウミガメの剥製や
歪んで映る鏡があったり
子供の私にはちょっとした遊園地のようだった。

そのころ食べていたのはたまごとじ。
父のかしわぬき(かしわそばからそばを抜いたもの)を
ちょっと飲ませてもらって。
そしておいしそうにビールを飲む父を見て、
いつかここで瓶ビールを頼んでみたいななんて思う
子供の頃でした。

あれから20年ほどたち・・・

先日父のお葬式が終わり家に着いた時
いとこがそば寿司を買って来てくれた。

小さな頃当たり前にあったそば寿司はもう、どんなものかも忘れていた。
そして大人の味だとおもっていたそば寿司は
とてもおいしかった!

海苔の厚み、そばの量、生姜、甘み、食感。
すべて
なんだこれ!!!!なんておいしいんだ!
もうそれからはまってしまい
旭川に戻ってからも似たようなものを作って食べるくらい。

たまごとじしか食べなかった私、
いまでは竹老園に行くと瓶ビール、
そしてかしわぬきとそば寿司を注文するようになってしまった。

あぁ、父と一緒に来たらどうだったろう。
瓶ビールは2本になるかな、なんて想像して。

この毎日もいつかの当たり前になるんだろうな。