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ピーマン

この記事を書いた人:アベミチコ

ピーマン

私が生まれ育った古めの社宅は
過去に住んだ人たちの傷がある柱や
味が出た艶のある階段など、私はとても好きだった。
窓からは近くの湖が見え、休みの日には父とよく散歩に出かけた。
だからか今でも古い家を選び、窓からの景色を大事にしてしまう。

庭には温室があり、野菜が育つ夏が楽しみだった。
小さな人参やトマト、ししとうさやきぬさやなど。
それらすべての野菜はしっかりと濃い味でとてもおいしかった。
温室に広がる野菜の香り、食べたらわかるうっすらと生えた産毛、
今でもあの時の野菜を超えるおいしいものとは出会ってない気がする。

私は「大人」というものは誰でも自然になるものだと思っていた。
大人になると温室を作り、野菜を育ててそれを家族で食べる。
現実は違ったけど。

話は戻し、そのころの苦手な野菜といえば食感の悪い缶詰のグリーンピース。
それも友達がグリーンピースを苦手と言ってたのを聞いて真似をしてから。
なんて不純な理由だろう。

そして自分から野菜を苦手と思うようになったのは
味が遠い安売りの野菜を食べてからだと思う。
そのころはまったく野菜のない生活をしていた。
でも最近はおいしい野菜も手に入るようになり
お酒のつまみにポリポリ野菜だけでもよくなった。

イラストのピーマン。
残業や付き合いが多い私は葉物の野菜はすぐ腐らせてしまう。
だからちょっと日持ちするピーマンを買ってから
ここ2年ほど冷蔵庫にはピーマンを欠かしたことがない。
さっと生姜醤油で炒めても、生でも。
目玉焼きと一緒に種入りで丸ごと焼いて
醤油を垂らした黄身をちょろっとつけて食べたピーマンなんて最高。

ピーマンは青い味でほろ苦くて大好き。
もしきちんとした生活をしていたらこんなにピーマンを買っていなかったと思う。
ピーマンのイラストを描こうなんておもわなかったかもしれない。

人生がどう流れるかわからないけれど
思った通りにいかないから楽しいんだ。
そんなことをピーマンに重ねて思うのでした。