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みちこの食いしん坊カレンダー

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鮭の心臓

両親は二人とも造船が主な鉄工所で出会い結婚、そして定年まで役員と事務計理として働いていていました。
大きなプロペラとオイルの匂い、瓶コーラの自販機に大人の週刊誌、そして機関長さんたち。
男らしく力強い空気に緊張したのを思い出します。

そのころ魚はもらうものと思っていたくらい、いつもいろんな魚が家に届きました。
母はそれをせっせとおろします。子どもの私は隣に行き、魚の胃袋をもらい包丁で切開して中身を取り出す。
その魚は何を食べてきたか、そしてどんな海にいたのかを想像していました。(今でもやりますが、ちょっと危険ですよね。笑)

ある日、よくうちに来ていた〝ゆーちゃん〟という機関長さんに「みちこ、誕生日何がいい?」と言われ、
そのころ大好物だった「鮭の心臓!」と答えると、数日後袋いっぱいの心臓が!
串に刺して塩をふって魚焼き機へ。
今思い出しても目を閉じてしまうくらいとってもおいしく、幸せな歯ごたえでした。

そして私は思春期になり、お腹を減らして家に帰るなり
玄関の匂いで夕飯がわかり、「えーーーまた魚!?」なんて文句言ったりして。
母は残業して帰ってきてから魚をこしらえ、文句も言わずに家族にご飯を作っていたことを考えると
何にもわからないあの頃の自分をケトバしたい!!ばかばか。ばかですよ。

そして現在、定年になった両親にとって魚は買うもの、すっかり贅沢なものになってしまいました。

今でもサンマのちいさな心臓はきちんと取り出し、一緒に焼いて食べてます。
そして食べるたびに、あのころの幸せとばかな自分を思い出します。

切なくなりまたまたお酒がおいしい。
あー!いっぱい鮭の心臓食べたい!!


※イラストのいくらは飾りです。